多くの日本軍「慰安婦」が騙されて誘拐されている【事実】

長崎地裁判決(1936年)

「安太郎は上海において帝国海軍軍人を相手とする海軍慰安所なる淫売屋を共同にて経営することになし 同所に女を送らねばならなぬが 女を雇うについては売淫の事を隠して女給として雇うがよいと申したり」

「安太郎ハ上海二於テ帝國海軍軍人ヲ相手トスル海軍慰安所ナル淫賣屋ヲ 藤田稔ト共同ニテ經營スルコトニ爲シ 同所二女ヲ送ラネハナラヌカ女ヲ雇フニ付テハ賣淫ノ事ヲ秘シ女給トシテ雇フカ良イト申シタリ」

 

稲田朋美元大臣が慰安所は当時は「合法」であったと発言した。しかし、法的な問題についてはしっかりと研究した上で判断しなければならない。

 

河野談話の問題点は、日本軍「慰安婦」制度が当時の法律によって違法であったのか、合法であったのかという法的評価を示していない点である。国際社会の関心は、日本政府がこの問題に関する法的な評価をどのように認識しているのかにある。

 

慰安婦制度が当時の法律において違法であった法的証拠が、1936年2月14日の長崎地方裁判所刑事部の「国外移送誘拐被告事件」判決である。拉致事件があったのは判決から4年前の1932年のことである。

 

この判決が示していることは、日本軍慰安所の運営は当時の刑法によって既に犯罪行為があったという事実である。

 

 

 

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「本人の意思に反する」が「性奴隷ではない」の矛盾

【結論】奴隷制度は、1926年に奴隷条約が採択された時期に、既にこれが慣習国際法に違反する犯罪であると認識された可能性が高い。同条約の「奴隷の定義」に従い、日本軍の慰安所において、女性たちがその「所有権に伴う権力の一部もしくは全てが(第三者によって)行使されている状態」であれば、国際慣習法に違反する奴隷犯罪であったと指摘することができる。これに反論する場合には、慰安婦たちの状態が「奴隷の定義」に当てはまらないことを証明するか、もしくは当時の国際法上、奴隷犯罪が慣習国際法違反になっていないことを証明する必要があるだろう。

 

慣習国際法(ウィキペディア)
1.  慣習によって成り立つ不文の普遍的な国際法の法源の一つのこと。

必ずしも、全ての国家の同意がなくとも成立するものである。

2014年7月16日 国連人権委員会(ジュネーブ)

 

※河野談話について、国連人権委員会において、日本政府は河野談話に対する認識を問われて、筆者の聞き取りによると、下記のように答えた。

 

「河野談話の作成過程において、強制連行は確認できていない。一方、そうした前提に立ちつつ、強制について、統治下にあったことを踏まえ、慰安婦の募集、移送、管理等、について「全体として個人の意思に反して行われたことが多かったとの趣旨で、甘言・強圧による等、総じて本人たちの意思に反して」との表現になった。この河野談話を見直す必要はない。」ただしこの問題は「 性奴隷ではない。1926年奴隷条約の定義に当てはまらないので、性奴隷は不適切な表現」と答えた。これに対して、人権委員会の議長は、「本人の意思に反する」ことと「奴隷ではない」ことの矛盾を理解するのは難しいというコメントを述べた。

 

国際公法の責務違反【慣習法】 

国際法律家委員会レポート(1994年)ICJ 1994

(日本語・英語・添付あり)

 

1926年奴隸条約第一条は、以下のように奴隸および奴隸取引の一般的に認められた

定義を定めている。

 

「⑴奴隸制度とは、その者に対して所有権に伴う一部又は全部の権能が行使されて行う個人の捕捉、
取得又は処分に関係するあらゆる行為、… 並びに、一般に奴隸を取り引きし又は輸送するすべての
行為を含む」

 

問題の女性たちが家族と村から連行されるや否や、軍は、女性を所有しているかのように振る舞っ
た。かくして、彼らは、被害女性らを奴隸として取り扱ったのである。加えて、同女性らの誘拐およ
び移送は、日本軍によって宥恕され、授権され、監督されたが、これらは奴隷取引の一形態であった。


その点で、日本は、すでに確立された国際公法の1部となっていた奴隷制度の禁止に違反した。

この 違反は、日本に責任を生じさせる。(ICJ1994 国際法律家委員会レポートより)

 

 

 

奴隷条約(1926年)第1条1項(奴隷の定義)

Article 1 For the purpose of the present Convention, the following definitions are agreed upon: 
 (1) Slavery is the status or condition of a person over whom any or all of the powers attaching to the right of ownership are exercised.
 
(2) The slave trade includes all acts involved in the capture, acquisition or disposal of a person with intent to reduce him to slavery; all acts involved in the acquisition of a slave with a view to selling or exchanging him; all acts of disposal by sale or exchange of a slave acquired with a view to being sold or exchanged, and, in general, every act of trade or transport in slaves.
 

 

 

日本は1926年の奴隷条約を批准していない。しかし、条約を批准していなくても、奴隷制は国際法違反であったと指摘することが可能である。なぜなら、1926年に同条約が採択されたこの時期に、奴隷制度そのものが、すでに全ての国家が拘束される一般国際法としての慣習国際法に違反する犯罪であると国際社会で認識された可能性が高いからだ。

 

「慰安婦」が置かれた状況が、上記の「奴隷の定義」に当てはまるならば、慣習国際法違反として法的責任を追及される余地がうまれる。

 

この問題で、「日本同様に慰安所を設置して慰安婦を管理した英国、独国、仏国、米国、韓国などの国々も、奴隷条約に違反」するのではないか、日本だけが奴隷犯罪で責任を問われるのは不公平だという意見がある。最もな意見である。人権擁護の論者なら、全ての性奴隷犯罪を追及すべきである。もしそれが上記の「奴隷の定義」に当てはまるならば、必ず責任が追及されなければならない。日本が関わった慰安所については、日本政府がその真相を究明する必要がある。

 

慰安婦問題と奴隷制の関係については、下記のTransnational Historyさんのブログが詳しい。

リンク「性奴隷の定義を無視し「慰安婦は性奴隷ではない」と叫んでも反論になってない

 

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ICJ 1994 国際法から見た「従軍慰安婦」問題 .pdf
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ICJ 1994 Comfort Women.pdf
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